支給されないのはどの条件か
受講したのに給付が出ない、という相談は形が決まっています。
原因は講座の側か本人の側のどちらかで、条文を追うと場面が絞れます。多くは申し込む前に確かめられるものです。
条文が挙げている要件
支給の条件は1つの条文にまとまっています。
教育訓練給付金は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「教育訓練給付金支給対象者」という。)が、厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であつて厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る。)において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する。
ここから外れる場面が4つ読み取れます。
- 指定を受けた教育訓練ではなかった
- 修了していない
- 実施者の証明がされていない
- 支給要件期間が足りない
1と4は申し込む前に分かります。2と3は受講した後に出てきます。
指定講座ではなかった
いちばん多いのがこれです。スクールの案内に「給付金対象」とあっても、自分が申し込んだコースが指定の対象でないことがあります。
指定は講座ごとで、通学と通信でも別に扱われます。検索システムで講座名を引けば申し込む前に確かめられます。指定講座は検索システムで引くにまとめました。
指定の期間が切れていた、という場合もあります。過去の記事や口コミで「対象」と書かれていても、いまの一覧に無ければ対象になりません。
修了していない
条文は「修了した場合」に支給するとしています。出席率や課題の提出が足りず、修了と認められないことがあります。
修了の要件は講座ごとに違います。通信なら課題の提出、通学なら出席率が基準になっていることが多くなります。標準の受講期間を過ぎた場合の扱いも講座によります。
申し込むときに、何を満たせば修了になるのかを書面で確かめてください。受講しただけでは足りません。
証明がされていない
支給には実施者の証明が要ります。修了証明書と、費用の証明です。
教育訓練給付金の額は、教育訓練給付金支給対象者が第一項に規定する教育訓練の受講のために支払つた費用(厚生労働省令で定める範囲内のものに限る。)の額(当該教育訓練の受講のために支払つた費用の額であることについて当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により証明がされたものに限る。)に百分の二十以上百分の八十以下の範囲内において厚生労働省令で定める率を乗じて得た額(その額が厚生労働省令で定める額を超えるときは、その定める額)とする。
「実施者により証明がされたものに限る」とあるので、自分で用意した領収書だけでは足りない場面があります。
証明書の発行に時間がかかる講座もあります。申請の期限は修了から1か月なので、いつ出るかを先に聞いておいてください。
期間が足りない
支給要件期間は原則3年です。転職を挟んでも通算できますが、1年を超えて空くと切れ、前に受給しているとそこから数え直しになります。
自分の期間はハローワークで照会できます。支給要件期間は3年で数えるにまとめました。
金額が小さすぎる
条文には、下側の線もあります。
第一項及び前項の規定にかかわらず、同項の規定により教育訓練給付金の額として算定された額が厚生労働省令で定める額を超えないとき、又は教育訓練給付金支給対象者が基準日前厚生労働省令で定める期間内に教育訓練給付金の支給を受けたことがあるときは、教育訓練給付金は、支給しない。
算定した額が省令の定める額を超えないときは支給されません。安い講座では、指定を受けていても受け取れないことがあります。
同じ条文の後半が、2回目の制限です。前回の受給から期間が空いていないと出ません。2回目を受けるには間が要るにまとめました。
事前手続きを飛ばした
専門実践と特定一般には、受講開始日の14日前までに受給資格確認の手続きがあります。これを飛ばすと、修了しても支給されません。
一般教育訓練には事前手続きがないので、この場面は起きません。自分が選ぶ講座がどの区分かで、やることが変わります。
期限を過ぎた
要件を全部満たしていても、申請の期限を過ぎると受け取れません。一般と特定一般は修了した日の翌日から1か月以内、専門実践は受講中に6か月ごとの申請があります。
修了証明書が届くのを待っているうちに過ぎる、というのが典型です。実施者に発行の時期を聞き、間に合わないようなら先に窓口へ相談してください。
やむを得ない理由があるときの扱いはハローワークの判断になります。黙って過ぎると、相談する相手もいなくなります。
会社が費用を出していた
対象になるのは本人が支払った費用です。勤め先が負担した分は入りません。
全額を会社が出している場合、本人の支払いが無いので支給の対象になりません。一部だけ会社が出した場合は、自分で払った分だけが対象です。
領収書の名義が会社になっていると、本人が払ったことを示せません。会社の補助を使うなら、どちらが有利かを先に計算してください。
申し込む前に潰せるもの
- 講座が指定を受けているか(検索システム)
- 指定の期間内か(検索システム)
- 自分の支給要件期間が足りているか(ハローワーク)
- 前回の受給から期間が空いているか(ハローワーク)
- 事前手続きが要る区分か(区分で決まる)
- 修了の要件は何か(実施者)
6つとも、受講を始める前に確かめられます。後から分かるのは、修了できたかと証明が出るかの2つだけです。
出なかったと分かったとき
不支給の通知が来た場合、理由が書かれています。まずそこを読んでください。講座の側の理由なら、その講座は今後も対象になりません。本人の側の理由なら、条件が変われば次は受けられます。
期間が足りないだけなら、必要な年数が経ってから同じ講座を受け直す選択があります。ただし受講料は再度かかるので、金額の比較が要ります。
判断に納得がいかない場合、雇用保険の決定には不服申立ての仕組みがあります。まずは窓口で理由を詳しく聞き、それでも疑問が残るなら手続きを尋ねてください。
次に活かす
不支給になった経験は、次の受講で潰せる項目を教えてくれます。どの段階で外れたのかを記録に残しておくと、同じことを繰り返しません。
とくに事前手続きと期限は、知っていれば避けられるものです。制度の側が複雑なので、知らなかったことを責める必要はありませんが、2回目には効きます。
まとめ
- 不支給の原因は講座の側か本人の側のどちらか
- 講座の側は指定の有無と指定の期間、そして修了と証明
- 本人の側は支給要件期間と前回の受給からの期間
- 算定した額が小さすぎると支給されない
- 専門実践と特定一般は事前手続きを飛ばすと出ない
- 6項目は申し込む前に確かめられる
受講してから調べると、取り返しがつかない項目があります。