講座の給付金ガイド

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給付の対象は指定された講座だけ

公開

スクールの広告に「給付金で最大70%オフ」と書かれていることがあります。

その率が出るのは、指定を受けた講座を修了した場合だけです。どの講座でも出るわけではありません。まず、そこを条文で確かめます。

条文には「厚生労働大臣が指定する」と書いてある

雇用保険法にこうあります。

教育訓練給付金は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「教育訓練給付金支給対象者」という。)が、厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であつて厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る。)において、支給要件期間が三年以上であるときに、支給する。

長い条文ですが、要件は3つです。

  1. 厚生労働大臣が指定する教育訓練であること
  2. それを修了したこと
  3. 支給要件期間が3年以上であること

厚生労働省の説明も同じことを書いています。

一定の受給要件を満たす方が、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、その費用の一部が教育訓練給付金として支給されます。

「指定を受けた」がどちらにも入っています。 指定を受けていない講座は、内容がどれだけ良くても対象になりません。

指定は3種類ある

指定にはレベルの違いがあり、それぞれ書き方が違います。

特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象となります。

これが専門実践教育訓練です。いちばん率が高い区分で、受け取る順序も他と違います。中身は専門実践の70%は後から出るにまとめました。

特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象となります。

これが特定一般教育訓練で、受講開始前の手続きが要ります。中身は特定一般は事前の手続きが要るにまとめました。「速やかな再就職」と書かれているとおり、短期で職に就くことを想定した区分です。

その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象となります。

これが一般教育訓練で、いちばん広い区分です。率と上限の効き方は一般教育訓練は20%で上限10万にまとめました。

同じスクールでも、講座ごとに区分が違うことがあります。「このスクールは給付対象」ではなく「この講座はどの区分か」で見てください。

率は法律では幅でしか決まっていない

広告に出てくる「最大70%」「20%」といった数字は、法律の本文には書かれていません。条文はこうなっています。

教育訓練給付金の額は、教育訓練給付金支給対象者が第一項に規定する教育訓練の受講のために支払つた費用(厚生労働省令で定める範囲内のものに限る。)の額(当該教育訓練の受講のために支払つた費用の額であることについて当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により証明がされたものに限る。)に百分の二十以上百分の八十以下の範囲内において厚生労働省令で定める率を乗じて得た額(その額が厚生労働省令で定める額を超えるときは、その定める額)とする。

「百分の二十以上百分の八十以下の範囲内において厚生労働省令で定める率」です。つまり20%から80%という幅だけが法律にあり、実際の率は省令で決まります。

厚生労働省が示している現在の率は、区分ごとに次のようになっています。

区分上限
専門実践教育訓練受講中に50%年間40万円
同(資格取得+1年以内に雇用保険の被保険者として雇用)70%との差額年間56万円
同(さらに賃金が5%以上上昇)80%との差額年間64万円
特定一般教育訓練40%20万円
同(資格取得+1年以内に雇用)50%との差額25万円
一般教育訓練20%10万円

上限があるので、率だけで金額は決まりません。受講料が高い講座ほど、率よりも上限のほうが効いてきます。

「最大70%」は最初から出るわけではない

表のとおり、専門実践の70%や80%は条件を満たしたあとに差額が出る形です。

  • 受講中は50%が6か月ごとに支給される
  • 資格を取り、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇われると70%との差額
  • さらに賃金が5%以上上がると80%との差額

つまり受講している時点で受け取れるのは50%までです。広告の「最大70%」を前提に資金計画を立てると、途中で足りなくなります。

一度受けると、そこから数え直しになる

支給要件期間の数え方にも条文があります。

当該基準日前に教育訓練給付金の支給を受けたことがあるときは、当該給付金に係る基準日前の被保険者であつた期間

前に受給していると、それ以前の期間は算入されません。2回目を考えるなら、前回からの期間を数え直すことになります。

申請先はハローワーク

支給の窓口はスクールではありません。

教育訓練給付金の支給申請は、お住まいを管轄するハローワークで受付しています。

スクールがやってくれるのは証明の発行までです。申請は自分で行くことになります。ここを勘違いすると、期限を逃します。

対象になる費用の範囲

率をかける元になるのは「教育訓練の受講のために支払つた費用」ですが、条文は括弧で範囲を絞っています。「厚生労働省令で定める範囲内のものに限る」とあり、何でも入るわけではありません。

実務で外れやすいのは次のあたりです。

  • 受験料そのもの(講座の費用ではない)
  • 交通費や宿泊費
  • パソコンなど、講座と別に買った機材
  • 補助教材のうち、任意で買ったもの

入学金と受講料は対象になります。判断に迷うものは、申し込む前に講座の実施者に確認しておくと後で困りません。

領収書は費用を証明するためのものなので、支払った相手と内訳が分かる形で受け取ってください。カードの利用明細だけでは足りないことがあります。

途中でやめると出ない

条文は「当該教育訓練を修了した場合」に支給するとしています。つまり途中でやめると、それまでに払った費用は戻りません。

専門実践だけは受講中の支給がありますが、これも6か月ごとの区切りで受講の継続が確認される形になっています。続けられる分量かどうかを、申し込む前に見ておく必要があります。

働きながら通う場合、週あたりの時間で見るより、仕事が忙しい月に落とせるかどうかで考えるほうが現実に合います。

申し込む前に確かめること

  1. その講座が指定を受けているか(スクール単位ではない)
  2. 区分はどれか(専門実践/特定一般/一般)
  3. 自分の支給要件期間が3年以上あるか(初めてなら1年以上の扱いになる場合がある)
  4. 前に受給していないか

1と2は講座の側、3と4は自分の側です。どちらが欠けても支給されません。

指定講座は厚生労働省の教育訓練講座検索システムで調べられます。教育訓練給付金(厚生労働省)からたどれます。

講座を実際に比べる手順は講座は指定の有無から確かめるにまとめました。料金表より先に、講座名で検索システムを引くところから始めます。

支給の申請には期限があります。支給申請は修了から1か月以内にあります。

まとめ

  • 給付が出るのは厚生労働大臣が指定した講座を修了した場合だけ
  • 指定は専門実践/特定一般/一般の3種類。同じスクールでも講座ごとに違う
  • 法律にあるのは20%〜80%という幅だけで、率は省令で決まる
  • 専門実践の70%・80%は条件を満たしたあとの差額。受講中は50%まで
  • 率だけでなく年間上限が効く
  • 一度受給すると、それ以前の期間は算入されない
  • 申請先はハローワーク。スクールではない

広告の率を見る前に、その講座が指定を受けているかを確かめてください。

出典